退職と再就職
JMoF 2016が終わってから3ヶ月も経たない内に、前職を辞めました。前職は従業員が10人未満のこぢんまりとしたLSP(ランゲージサービスプロバイダー)の会社でしたが、皆さんがよく耳にするような大企業とのパイプを長年持っていました。私はそこで、主にDTPオペレーターとして取り引き先の担当者から(喜ばしいことに)信頼を得ていました。
ですが、零細企業とはいわば荒波に繰り出している小舟のような存在であり、それ故に船員は全クルーとウェットな信頼関係を築かなければなりません。私の場合、経営者とのミスコミュニケーションが積み重なってしまいました。
人それぞれに得意・不得意があり、自分の常識は他人の常識ではありません。少なくとも、私は脅されて強くなる人ではなかったようです。最後には、なかば感情的になって退職しました。
再就職手当をもらうようになってから、就職活動を始めました。とは言っても、はじめの内は活動実績をつけるために、ハローワークの担当者と週に1回面談することを機械的に続けていただけでしたけれども。
求人に応募することをはじめても、企業研究にはまったく関心を持てなかったので、面談の機会をいただいてからその企業のホームページなどを確認していました。「御社の求人票を拝見しましたが、それだけでは分からないことがたくさんあります。今回、こうした機会を設けていただきましたので、御社についてより詳しい話をお聞きしたいと思います」と、面接の場で企業分析をしていました。
前職では大人しくし過ぎたという反省もあり、強気の姿勢を貫いた結果、応募した会社の4割程度から内定ないし採用のお知らせをいただきました。そして、そうした会社に「逆お祈りメール」を書いて送る経験もしました。ただ、いつまで経っても決断しないことは身内を不安にさせるため、年内での決着をはかり、再就職しました。
どれだけ冷静になろうとも、どれだけ強気になろうとも、完璧な選択は難しいものです。最終的に選択した道の価値は、今のところまだ見えていません。ですが、今得ているチャンスでは、多少の反抗心をもって挑もうと考えています。
ゲーム三昧
退職後、まず取り組んだことがPCゲーム環境の構築でした。以前から、Steamで販売されているPCゲームに興味があったのですが、要求スペックを満たしていないという問題がありました。友人に依頼して組んでもらったニューマシンは、「一般的なFPSゲームが十分に動作する」環境なのだそうで。私は味を占めたようにさまざまなPCゲームをプレイしました。特にパズルアドベンチャーものが好きで、『タロスの原理(The Talos Principle)』はDLC『ゲヘナへの道(Road To Gehenna)』やユーザー作成マップも含めてやり込みました。
『タロスの原理』のユーザー作成マップ |
スマートフォンでプレイした『ミスト(Myst)』シリーズの精神的後継作『オブダクション(Obduction)』を、オンタイムでプレイできたことを感慨深く感じています。
『オブダクション』のフンラース(Hunrath) |
とにかく、ゲーム三昧の日々を送っていたということです。
JMoF/Furry研究会/Philosofur
はじめに総括を書いておきますが、自由に使える時間の量が増えても、必ずしもすべてができるわけではありません。趣味に関して、私はこの大きな時間を「カラーのイラストを練習する」こと、そして「ケモノ着ぐるみを作る」ことに使うことができませんでした。その代わりにできたことが、掲題の3つです。JMoFでは、広報スタッフとしてウェブサイトやチラシの原稿執筆/校正/翻訳チェック、Facebookページの更新を担当しています。今回私は、ウェブサイトやチラシのテキストを、日本語・英語の両方ともほぼすべてチェックしました。日本語にして約2万~3万字の量でしたが、「参加者を過度にお客様扱いしない」とか、「システマティックで読みやすい文章にする」とか、さまざまなことを考えながらやりました。
JMoFに参加する皆さんがどう感じているのか、まだ分かりません。ですが、少なくとも日本語と英語の情報ギャップの穴埋めには成功していると信じています。
Furry研究会は、私とまんぐくんがJMoF 2016でやったこと(ケモナー論文公聴会)をきっかけにはじまった試みで、狐野くんをリーダーに据えてこれまでに5回開催したイベントです。「ケモノを言葉の世界で楽しむ」をキーワードに、ケモノについて皆で考える場を提供しています。
Furry研究会の準備で一番気を遣ったことは、知識の垂れ流しにはしないようにすることです。……人によっては気持ちいいと思ってくれるかもしれませんが、小難しく考えることはいったん脇によけて、敷居が低くて間口の広いテーマや方法を採用しました。
『フィロソファー(Philosofur)』は、JMoF 2017のディーラーズルームで有償頒布する、ケモノのテクスト系(エッセイ/記録/研究)雑誌です。なぜこの本を作ったのかについて、詳しい経緯はこの本の中に書いたので割愛します。
『フィロソファー1』の表紙(イラスト:朝城緋蓮さん) |
パッと見で分かるような創作を、今年はあまりできなかったのかもしれません。ですが、こうした文筆活動も創作の1つだと思っています。その意味で、2016年は趣味面で充実していました。
旅行暦
最後に、2016年に旅した各地の写真を載せて、今年の振り返りを終えます。ユスタヴァとライル(オーナー:KINさん)のツーショット(撮影:着ぐるみ写真館さん) |
さっぽろテレビ塔での集合写真(撮影:Mutさん) |
「篠原の里」は、廃校になった旧校舎を再利用した宿泊施設です(撮影:豅リリョウ) |
大崎八幡宮本宮(撮影:豅リリョウ) |
氷狐さんを訪ねに、茨城・仙台に行きました。国宝である大崎八幡宮と、仙台城(青葉城)跡を観て回りました。大崎八幡宮は、青い彩りが印象的でした。仙台では、だるまも青いんですねえ。
ユスタヴァ(撮影:ゆうすけさん) |
迎賓館赤坂離宮の裏側(撮影:豅リリョウ) |
上賀茂神社(賀茂別雷神社)細殿前の立砂(撮影:豅リリョウ) |
大阪では、国立民族学博物館などに行きました。
オーシャンスタジアムでジャンプをするシャチ(撮影:豅リリョウ) |
2016年は……確かに自分の部屋にこもっている時間が長かったと思います。ですが、何も得られなかったわけでもないようです。少なくとも、浪人時代の私よりかは生き生きした一年でした。
来年の2017年は、この一休止で得たエネルギーをばねにして、できることをできる限りやっていきたいなあと思います。皆さん、よいお年を。